むつみ接骨院の体幹トレーニング
- 院長 大澤慎吾
- 2月13日
- 読了時間: 7分
更新日:3月21日
腹圧とその重要性

(1)前置き
姿勢の改善、腰痛・肩こりの治療、ダイエット、パフォーマンス向上などでよく言われる「体幹トレーニング」。しかし、体幹トレーニングを正しく理解して、実践できている人はどれくらいいるのでしょうか?
なんとなくのイメージで、見よう見まねでトレーニングを行っていると、効果がないばかりか、逆に体を痛めてしまうかもしれません。この記事では、そもそも体幹トレーニングとは何か、正しくトレーニングするにはどうしたらよいかを解説します。
体幹トレーニングを正しく理解して実践すれば、体の痛みの改善や予防だけでなく、姿勢の改善による美容効果、体を効率よく使えるようになりスポーツでのパフォーマンス向上の基礎になると考えます。
(2)先に結論
体幹トレーニングの目的は体幹部の支持性(胴体を支える力)を高めることです。
体幹トレーニングによって〝腹圧を高める〟ことで体幹部の支持性が上がります。
体幹トレーニングの応用としては、〝腹圧を維持〟しながら様々な姿勢、動作をできるようにする。そして、継続的に反復してトレーニングすることによって、意識しないで日常やスポーツなどで活用できるようにすることが最終的な目標になります。
(3)腹圧とは?

人間の胴体には大きく分けて2つの空間があります。青で囲った部分が「胸腔」、肺や心臓が入っています。間にある緑の線が横隔膜で、胸腔と腹腔を隔てています。その下の赤で囲った部分が「腹腔」、胃腸や肝臓、腎臓などが入っている空間になります。腹圧はこの腹腔にかかっている圧のことです。

この腹腔に圧をかけて体幹の安定化に重要な役割をしている深部の筋肉をインナーユニットといいます。具体的には腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋ですが覚えなくても大丈夫です。これらの筋肉が腹腔を取り囲むように存在していて、収縮することで腹腔の圧を高めます。いわゆる体幹部のインナーマッスルとイメージしてください。
インナーマッスルは関節を安定させる役割を持ち、アウターマッスルが力を発揮するときに、それをサポートする重要な働きをしています。インナーマッスルがちゃんと働くことによって安定した動作をすることができます。
体幹部のインナーマッスルであるインナーユニットが収縮することによって腹圧が高まり、体幹部が安定することによって、姿勢を保ったり、スムーズな動作を行えるようになります。
(4)体幹トレーニングとは
これまでの内容をまとめます。
①体幹トレーニング=腹圧を高める、維持する
②腹圧=インナーユニットによる収縮
なので体幹トレーニングは体幹部のインナーマッスルを上手く使えるようにするということです。重要なのは体幹トレーニング≠筋トレということです。
一般的な筋トレをやりすぎると逆に体幹部の支持性が低下することがあるので、注意が必要です。
(5)体幹トレーニング≠筋トレ
先ほど「上手く使えるようにする」と言ったのは、鍛えると言ってしまうとどうしても筋トレのイメージをもってしまって、インナーマッスルを鍛えようとして、クランチなどの腹筋運動やつま先と肘をついてのプランクなど、負荷の高い運動をしようとしてしまうからです。
インナーマッスルを鍛えようとしていきなり負荷の高い運動をするのはよくありません。負荷の高い運動ではアウターマッスルが優位に働き、インナーマッスルの働きが抑えられてしまうからです。インナーマッスルを上手く使えるようにするためには、少ない負荷で、正しいフォームで行うことが重要です。

このような運動も体幹トレーニングによく見られますが、いきなりこのような運動を取り入れるのは止めた方が良いと思います。このような運動はしっかりと腹圧が入って、維持できるようになり、スポーツなどのパフォーマンスを上げるために行う運動です。肩こり、腰痛、姿勢を改善したい方はもっと負荷の低い、優しいトレーニングを行ったほうが良いと思います。
(6)具体的な体幹トレーニング方法
では、どのような方法で体幹トレーニングを行うかご説明します。
①風船エクササイズ
当院で施術の初期の段階でよく行うエクササイズで、「腹圧高める」という感覚がわからない人にとてもわかりやすく説明する方法の一つです。
✅やり方は簡単!風船を膨らますだけ!
実際に膨らまなくても大丈夫です。膨らまそうとして風船を強く吹くことによって、お腹に力を入れて“いきむ”感覚を感じてください。それが腹腔に圧をかけ腹圧を高めている状態です。
風船を吹く姿勢はどのような姿勢でも効果がありますが、最初は②のドローインエクササイズの姿勢、仰向けになり膝を曲げた姿勢が良いと思います。
慣れてきた方でより効果を高めたい方は、四つん這いの姿勢で片手で口元で風船を抑えながら行うとより効果的です。
風船はどんなものでも構いませんので、是非やってみてください。
②ドローイン(腹部引き込み運動)
ドローインは呼吸によってインナーユニット(特に腹横筋)に刺激を入れる方法です。
お腹をへこませながら深く息を吐いていき、腹部に圧かけます。
仰向けであまり体を動かさずにできるので、腰痛の方や高齢者の方も安全に行えます。
✅やり方

仰向けになり膝を曲げる、手は軽くお腹に添える
ゆっくりと大きく息を吸いこみ、お腹を膨らませる
口から 「フーッ」 とゆっくり息を吐きながら、お腹をへこませる
おへそを背中に引き込むイメージ
腰が反らないように注意!
息を吐いてお腹がへこんでいる状態を5秒程度キープ
この時にお腹に力を入れて「いきむ感覚」があれば成功です
力を抜いてリラックスし息を吸います
これを5~10回繰り返します
💡お腹に力が入れていきむ感覚がわからない方は前のパートの風船エクササイズを行ってください。
💡慣れてきた方はお腹のへこみをキープしたまま通常の呼吸を繰り返してみてください。(1~2分程度)
💡座った姿勢や立った姿勢で行ってみてください。
これができれば、日常生活のあらゆる場面で腹圧が高く、体幹が安定している状態をキープできるようになります。
風船エクササイズ・ドローインエクササイズにより体幹の安定性が高まれば
✅姿勢の改善
✅腰痛や肩こりの改善・予防
✅ポッコリお腹の引き締め
✅スポーツをする方のトレーニングの基礎・ケガの予防
このような効果が期待できます。
是非やってみてください。
(7)なぜ体幹トレーニングが重要なのか
当たり前のことですが、腕、脚、頭は全て胴体(体幹)についています。
体幹部の支持性が低下してグラグラしてしまったら、そこについている腕や脚、頭を上手く動かせないのはなんとなく想像できるのではないでしょうか。グラグラして上手く動かせない代わりとして、体のどこかの部位に負担をかけて支えることによって日常生活やスポーツを行っていると、その負担が集中している部位が痛みを訴えるようになります。それが腰部に負担が集中すると、腰痛の原因に。頚部や肩に集中すると、肩こりや五十肩の原因に。といった具合に様々な体のトラブルの原因になります。
体幹の支持性を回復させずに、痛い部位をただマッサージする、凝り固まった部位をほぐす、などの処置を行っても、その時は気持ち良かったり、一時的に痛みが改善しても、またすぐに同じような痛みなどの症状が現れます。
根本からの改善を目指したいなら、体幹部の支持性を改善し、体をちゃんと支えられるようにし、その上でいろいろなエクササイズを行うのが重要になります。
「より詳しいトレーニング方法を知りたい」、「今やっているトレーニングがあっているか不安だ」、「自分に体幹の支持性があるのかわからない」、このような方はトレーナーやセラピストなどの専門家に一度相談されることをお勧めします。
体幹トレーニングを正しく行うことで、腰痛や肩こりの改善、姿勢の矯正、スポーツパフォーマンスの向上など、さまざまな効果が期待できます。しかし、誤った方法では十分な効果が得られないばかりか、かえって体に負担をかけてしまうこともあります。
むつみ接骨院では、一人ひとりの体の状態に合わせた体幹トレーニングの指導を行い、根本的な痛みの改善や再発予防をサポートしています。岡崎市周辺で腰痛、肩こり、スポーツ障害、姿勢改善にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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