むつみ接骨院の骨盤矯正②
- 院長 大澤慎吾
- 3月19日
- 読了時間: 9分
更新日:3月21日
下位交差性症候群の改善方法

※この記事は「むつみ接骨院の骨盤矯正①」の続きになります。
①をまだお読みになっていない方は、先に読んでいただいてからこの記事をお読みください。
(4)下位交差性症候群を改善するには
ポイントは「体幹の安定性」と「股関節の可動性」
下位交差性症候群は、特定の筋肉が過剰に緊張して硬くなり、逆に別の筋肉が弱くなって機能低下を起こすことで、筋バランスが崩れることで発生します。
そのため、改善のポイントは以下の2つです。
1️⃣ 硬くなった筋肉や動きの悪くなった関節の柔軟性を改善し、可動性を高める
2️⃣ 使われにくくなった筋肉をしっかり機能させ、体幹の安定性を向上させる
この2つを改善することで、安定した姿勢とスムーズな動作を取り戻すことができます。
①体幹の安定性の改善
使われず弱くなりやすい筋肉に、体幹部のインナーマッスルがあります。これらの筋肉は腹圧を高め、体幹部の安定させる重要な役割を果たしています。

腹腔を取り囲む体幹部のインナーマッスルを「インナーユニット」といい、腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋群になります。これらの筋肉をしっかり機能させ、腹圧を高め体幹部が安定することにより、姿勢を保ち、スムーズに動作ができるようになります。
詳しくは「むつみ接骨院の体幹トレーニング」の中で説明していますので、以下の記事をご覧ください。
簡単に説明しておくと
腹圧を理解するために、まず風船エクササイズにより
「お腹に力を入れて“いきむ”感覚」
を感じてください。
さらに、「ドローイン(腹部の引き込み運動)」によって腹圧をキープして体幹部の安定性を高めていきます。

②呼吸の改善
体幹部のインナーマッスルであるインナーユニットと呼吸は密接に関係しています。
腹圧を高めて体幹の安定性を改善するためには、呼吸の改善も重要なポイントになります。
浅く早い呼吸や口呼吸が習慣化していると、横隔膜がうまく使えなくなります。
その結果、頚部や胸部、腰部の筋肉が代わりに働き、筋肉のバランスが崩れ、横隔膜などの腹部のインナーユニット使われず、腹圧が低下して体幹の安定性も低下してしまいます。

呼吸改善のポイントは以下の通りです。
✅ 鼻呼吸で行う
✅ 腹式呼吸を行う(お腹が膨らんだりへこんだりする)
✅ ゆっくりと呼吸を行う
詳しくは「むつみ接骨院の猫背矯正②」で説明していますので、以下の記事をご覧ください。
③股関節の可動性改善
股関節は、体の中心にあり、動作の基点となる重要な関節です。この股関節の動きが制限されると、代償的に腰や膝に負担がかかり、痛みや違和感の原因になります。そこで、可動性改善の重要なポイントは股関節の柔軟性を向上させることです。

可動性改善のポイントは
〝腸腰筋〟
腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)は股関節の前側に位置し、股関節の動きをコントロールする重要な筋肉です。しかし、腸腰筋が硬くなったり、周囲の組織と癒着したりすると、股関節の動きが制限され、以下のような影響が出ます。
✅ 骨盤前傾タイプ(反り腰)
腸腰筋が短縮して硬くなり、股関節が屈曲位で固定されやすくなります。その結果、骨盤が前に倒れ(前傾)、代償として腰椎が過伸展(反り腰)してしまいます。これにより腰痛や股関節の詰まり感(前方の痛み)が発生しやすくなります。

✅ 骨盤後傾タイプ(フラットバック)
腸腰筋が伸ばされた状態で機能低下を起こし、股関節の屈曲可動域が低下します。これにより前屈動作(お辞儀をする動作)の際に、股関節の動きが悪くなり、代償的に腰椎が過剰に屈曲し、腰痛を引き起こすことがあります。

可動性改善ポイント
股関節の可動性を改善するためには、腸腰筋だけでなく、他の関節や筋肉にもアプローチが必要です。
✅腹圧を高めて体幹を安定させ、殿筋(お尻の筋肉)を使いやすくする
股関節の柔軟性を高めるためには体幹の安定性が必要です。
体幹が不安定なままだと、殿筋が働かず、代わりに腰や腸腰筋が過剰に使われてしまうことで硬くなり、股関節の柔軟性が低下します。
腹圧をしっかり入れて体幹を安定させることで、殿筋が適切に機能して、股関節の動きがスムーズになります。
①、②の体幹トレーニングや呼吸が重要になります。
✅腹圧をキープしながらエクササイズを行う
エクササイズの目的は、狙った筋肉をストレッチしたり、正しく使い、効率的に鍛えることです。しかし、体幹が不安定なまま行うと、別の筋肉が代わりに働いてしまい、本来の効果を得られなくなります。
息を止めず、リラックスして行うことが重要ですが、ドローインをして腹圧を入れ、体幹部の安定性を維持した状態で行うようにしてください。
腹圧を入れてエクササイズを行うことで、代償動作を防ぎ、正確な動きでトレーニングができるようになります。これは、股関節の可動性改善にもつながる重要なポイントです。
✅股関節の回旋させる動的ストレッチを行う
腸腰筋が硬くなると股関節の屈伸と回旋の動きを制限します。
腸腰筋以外にも腿の内側の「内転筋群」、腿の外側の「大腿筋膜張筋」も硬くなります。
これらの筋肉が硬くなると、 股関節の動きがさらに制限され、歩行やスクワットなどの動作がスムーズに行えなくなります。
股関節を回すような動的ストレッチを取り入れることで、腸腰筋だけでなく他の筋肉の動きも改善し、股関節の可動域を広げます。
股関節のエクササイズ
⭐ 腸腰筋ストレッチ

片膝を床につき、もう一方の足を前に出して90度に曲げる(ランジの姿勢)。
胸を張りながら、骨盤を軽く前傾させるように意識する。
ゆっくりと体を前方へ移動し、股関節の前側が伸びるのを感じる。
腰を過度に反らさず、真っ直ぐな姿勢を意識する。
30秒キープし、反対側も行う。
💡ストレッチ時の注意点
✅ 胸を張る(猫背にならないように)
✅ 腰を反らさない(反り腰になると腰痛の原因になります)
✅ 体が前に傾かないようにする(腰が引けると股関節の伸展が不十分になる)
✅ 息を止めないようにする(リラックスして呼吸を続ける)
⭐ スクワット(殿筋のトレーニング)
スクワットの目的は殿筋をしっかり使うことです。これにより股関節の安定性が向上し、下肢交差性症候群の改善に役立ちます。正しいフォームで行うことで、腰や膝への負担を減らし、殿筋を効果的に活性化できます。
※腿前ではなくお尻に力が入るように行うのが重要です!

足を肩幅程度に開く(つま先はやや外側に向ける)
腹圧を入れて体幹を安定させる(背筋を伸ばし、腰を反らせすぎない)
お尻を後ろに引くようにしてゆっくりしゃがむ
(膝がつま先より前に出すぎないように注意)
太ももが床と平行になるくらいまで下がる(股関節をしっかり曲げる)
お尻を締めるようにしながら立ち上がる
10回程度行う
💡 殿筋をしっかり使うポイント
✅ 腹圧をしっかり入れて体幹を安定させる
✅ 膝ではなく股関節から動かすイメージ
(しゃがむときにお尻を後ろに引く)
✅ 立ち上がるときに殿筋を意識して締める
(太ももではなくお尻で押し上げる感覚)
✅ 足裏全体でしっかり床を踏む
✅ 膝が内側に入らないようにする
⭐ 股関節回し運動


股関節の動的ストレッチです。
動的ストレッチは、体を動かしながら筋肉を伸ばすストレッチのことです。静止した状態でじっくり伸ばす「静的ストレッチ」とは違い、関節を大きく動かして柔軟性を高めるのが特徴です。
動きが大きく、文章で説明しずらいため、実際の動きが分かりやすい動画をご紹介します。
実際の動きが分かりやすいので、ぜひ参考にしてください!
動画内の1:26~9:46の動きを参考にしていただければいいと思います。
▶ 動画はこちら 👇
💡 ポイント
✅ 体幹を安定させながら行う(腹圧を意識)
✅ 力まずリラックスして大きく回す
✅ 痛みのない範囲で無理なく行う
(5)むつみ接骨院の骨盤矯正まとめ
「自分の体を本当に治せるのは、自分だけ」
この言葉は、一見するとセラピストとして無責任な発言に聞こえるかもしれません。しかし、どんなに優れた医師やセラピストがいても、本当の意味で人の体を治すことはできません。
手術や薬を用いれば、悪い部分を取り除いたり、症状を一時的に抑えることは可能ですが、最終的に体を回復させるのは 人間の持つ本来の治癒力や免疫力 なのです。
私たち医療従事者やセラピストができることは、患者さんが抱える症状の原因を見極め、 なぜ悪くなったのか、どうすれば良くなるのかを明確にし、その道筋を示すことです。
患者さんに寄り添って、正しく進んでいるかをサポートし、必要に応じて修正していくことはできますが、「治る」という目標に向かって歩き続けるのは患者さん自身にしかできません。そして、患者さんの横で車のナビゲーションのように常に正しい道を示し続けることはできません。

知識が自分の体を変える
1週間は168時間。そのうち、接骨院での施術を受ける時間が週一回の1時間だとしたら、残りの167時間をどのように過ごすかを、私がコントロールすることはできません。日常生活の過ごし方や、正しくエクササイズできるかは患者さん次第になります。
そこで重要になってくるのが
「知識」 です。
生活習慣を変えるのはとても難しいことです。 いつもの日常にエクササイズを取り入れたり、生活習慣を改善するには、なぜそれを行わなければならないのかを理解することが大切です。正しい知識があれば、エクササイズや生活改善の必要性を納得でき、モチベーションにもつながります。
当院では施術の中で 生活指導や運動指導 を行い、患者さんが自分自身で体をケアできるようサポートしています。しかし、

施術後に説明されたことを忘れてしまう
勘違いして覚えてしまう
といったこともよくあります。
そこで、このブログでは施術の根拠となる考え方 を説明し、
なぜ患者さん自身がエクササイズを行う必要があるのか
どのようなエクササイズを、何に気をつけて行えばいいのか
を解説しました。
施術中に聞いた内容を忘れてしまったときや、確認したいと思ったときに、このブログが参考になればと思い、記事を書きました。
この記事だけでなく、
も合わせて読んでいただくことで、
なぜ症状が出ているのか
どうすれば改善するのか
何をすれば健康な体を維持できるのか
を理解しやすくなるはずです。
ぜひ、他の記事も読んでいただき、 「自分の体を治す力」 を高めるための知識を身につけてください。
あなたの体を本当に治せるのは、あなた自身です。
私たちはその道を示し、サポートしながら、共に健康を目指していきます。
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